がん治療を受けている患者さんと家族のかたへ

そして一般市民のかたへの協力のお願い

日本がんサポーティブケア学会 理事長

田村 和夫

新型コロナウイルス(COVID-19)感染が急速に広がるなか、4月7日非常事態宣言が出され患者さんやご家族ばかりでなくすべての国民が不自由なまた不安な日々を送っておられると思います。とくに呼吸器や心臓に病気を持っておられる方や抗がん治療を受けている患者・家族のみなさんは、COVID-19感染に注意を払わなければなりません。

 

1.がん患者・家族の方へ

がんとCOVID-19に関連しては、がん関連学会が患者さんとがん診療に携わる医療者向けの情報を発信しております。また近々、日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、日本癌治療学会の3学会が共同で情報を発信することになっています。

以下のホームページが分かりやすく情報が紹介されていますので参照ください。

日本臨床腫瘍学会「がん診療と新型コロナウイルス感染症:がん患者さん向け」Q&A

https://www.jsmo.or.jp/

日本がんサポーティブケア学会会員からの情報ですと、医療の現場では緊急を要する検査や治療を除いて、検査や治療の選択が行われています。つまり、がんかどうかの精密検査やがん治療後の定期検診、遺伝の診断や予防に関する医療行為、治療後に形を整える再建手術の延期、ウイルス感染者が多い地域にあっては、ゆっくり進行する早期がんの手術や化学療法、放射線治療の延期が行われております。つまり、COVID-19感染者の病院全体の対応と治療中のがん患者さんが感染した時の重症化リスクを考慮して、積極的ながん診療が現時点では控えられつつあります。

COVID-19感染がいつ収束するか予測はつきませんが、担当医の先生方はがん治療遅延によって、患者さんに不利益が極力およばないように常に考えています。ご心配でしょうが担当医と今後の治療方針についてじっくり話し合ってください。不安が強くて眠られないような時は、担当医の先生と相談の上、専門の診療科や医師の受診をおすすめします。

2.一般市民のかたへのお願い

みなさんの周りには、呼吸器や心臓、がんを患っておられる方がたくさんおられます。彼らがCOVID-19感染に罹患しますと重症化する可能性があります。厚生労働省からはCOVID-19に関する情報ならびに感染拡大を防ぐ注意喚起が出されています。

厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症について」

https://www.mhlw.go.jp/index.html 

みなさん自身の身を守るためにも、またがん患者さんやそのケアをされる方を支援するためにもぜひ次の事項を守っていただき、感染拡大予防にご協力ください。

  • できるだけ自宅ですごしてください。不要不急の外出を避けてください。
  • 外出するときはマスクを着用し、他人との一定の距離(1.5m以上)をとるように心がけてください。
  • 帰宅時は、石鹸流水で手を洗ってください。簡易型手指消毒薬も有効です。
  • 換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間、不特定多数の人が接触するおそれが高い場所を避けてください。