口腔観察テクニックと粘膜ケア
薬物療法に伴う口腔粘膜炎は、柔らかい可動粘膜(舌腹、舌側縁、頬粘膜、軟口蓋など)に起こりやすくなります。
知識はあるけど、実際にどうするのか不安、わからない。そんな時には。
POINT OF OBSERVATION
口腔粘膜観察のポイント
粘膜の観察をする際は、粘膜排除や把持方法がカギとなります。
使用する用具
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プラスティック手袋 -
舌圧子 -
ガーゼ -
ペンライト
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- 軟口蓋の観察
- 舌圧子などで舌を下方に圧排すると観察しやすい。「アー」と声を出してもらうと、さらによく観察できる。
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- 舌の観察
- 舌尖をガーゼで挟み手前に引くと観察しやすい。湿ったガーゼの方が、不快感は軽減する。粘膜炎がある場合は疼痛生じるため控える。
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斜め上方向に
引き上げる真横に
引っ張らない- 頬粘膜の観察
- 人差し指の第2関節くらいまで口腔内に挿入し、口角を境に斜め方向に引き上げたり、引き下げたりすると視野が広がる。
真横に引くと、口唇裂傷の原因となったり、臼歯部の視野が狭くなる。
OBSERVATION PROCEDURE
口腔内の観察手順
アセスメントシートにある項目について口腔内を評価します。
実際の観察の様子を動画で、典型的な粘膜の変化を演習で確認できます。

ダウンロード用
アセスメントシート

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1
口唇の観察
- 口唇乾燥
- 口角炎
- ひび割れ
の有無を確認。
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2
口唇内側の観察
左右の親指と人差し指で
口唇を上下にめくり確認。 -
3
右頬粘膜の観察
軽く口を閉じてもらい、左人差し指第1~2関節位までを挿入し
斜め上もしくは斜め下に粘膜を引く。 -
4
左頬粘膜の観察
右人差し指で粘膜排除。顔を右方向に向けてもらうと見やすくなる。
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5
舌の観察
舌全体の見渡し。 舌を左右に動かしてもらい確認。
舌を出し口角側に寄せてもらう。舌尖を口蓋につけてもらい、
舌裏と口腔底を観察。 -
6
口蓋の観察
舌圧子を使用し、舌を下方へ。
「アー」と声を出してもらい、
軟口蓋から奥を観察。頸部後屈してもらい、下から覗き込むように観察。 口蓋垂を中心に周辺の軟組織観察。
SPONGE CARE
スポンジケアの手順
粘膜を清潔に保つためのスポンジケアの手順を紹介します。
注意点
- 歯ブラシは歯の清掃に、スポンジブラシは歯肉を含めた粘膜の清掃に使用する
- こびりついた痰などの乾燥した汚染物は、清掃前に十分な保湿を行い軟化させておく
- びらんや潰瘍などの粘膜損傷部分に対しては、スポンジブラシの接触を控える
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1
スポンジブラシの
基本的な使い方-
1清潔な水、もしくは含嗽液、
マウスリンスなどを含ませて絞る。 -
2粘膜を清拭する。 -
3汚染物をガーゼで拭き取る。 -
4すすぎ用の水でスポンジを洗う。
1に戻る
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2
スポンジ清拭手順
- 1 上顎から下顎の順番に
- 2 奥から手前に。誤嚥しないように清拭
食べかすなどの汚染物を誤嚥してしまうと誤嚥性肺炎の原因となる。
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3
粘膜清拭の手順
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口唇を水や保湿剤で保湿。
➡ 摩擦による粘膜損傷防止。
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頬粘膜にスポンジブラシを圧接し、
回転させながら清拭。 -
口蓋粘膜は、スポンジブラシを
奥から手前に動かす。 -
歯肉も頬粘膜同様にスポンジブラシを回転させながら軽く抑えるように清拭。
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下顎舌側は、軽く舌を上げてもらい、
左右奥から手前に中心に向かって清拭。 -
舌尖を湿ったガーゼで保持し
奥から手前へかき出すように動かす。
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